2012年12月1日土曜日

中世の鎌倉の文化に浸る〜古都鎌倉と武家文化展


鎌倉の世界遺産登録を目指したキャンペーンの一環として、鎌倉国宝館、金沢文庫、神奈川県立歴史博物館において、三館連携特別展として『武家の古都・鎌倉』展が開催された。

鎌倉国宝館は、鶴岡八幡宮の境内の一角にある。この鎌倉国宝館では、鎌倉時代を代表する、仏像、彫刻、絵画、書、絵巻物が展示されていた。

蘭渓道隆、無学祖元の肖像。いずれも鎌倉時代の作品。二人とも南宋時代の禅僧。執権であった北条氏の招きで鎌倉に来て、それぞれ建長寺、円覚寺の開山となった。

彼らは、単に禅という仏教の一衆派だけを日本にもたらしたのではない。それに合わせて、磁器、絵画などの芸術品といった、南宋の文化をも日本にもたらした。

当時の鎌倉は、そうした南宋からの文物に溢れた国際的な都市でもあったのだろう。

『夢想問答集』で有名な夢窓国師の彫像。等身大で作られ、今まさに目の前に、生きた本人がいるのではないか、と錯覚してしまうほどリアルな彫像。作品は南北朝時代のものだが、鎌倉時代が生み出したリアリティ芸術を代表する作品。

夢窓国師は、蘭渓道隆や無学祖元の次の世代。南宋の禅を学び、日本独自の禅文化を作り上げた。京都の天竜寺を始め、多くの寺の庭園を設計した芸術家でもある。後醍醐天皇、足利尊氏という対立する陣営の両方から尊敬された、という政治家的な側面も持っている、興味深い人物。

いわゆる”牧谿猿”といわれる、独特の技法で猿を描いた水墨画、『猿猴図』。こちらも南北朝時代の作品。建長寺に収められている。

源頼朝、その子の頼家、元寇の時代の執権だった北条時宗など、時代を動かした人々が書いた書状の数々。鎌倉という地の歴史の重みを感じる。

そうした、鎌倉時代、南北朝時代の文物を見て、この時代の鎌倉という土地について、
もっと知りたい、という欲求を抑えきれない自分に気づかされた。

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