美術・芸術関連の展覧会に行った時の感想をアップします。もし興味があったら、ご覧ください。My comments to the art exhibitions in Japan.
2013年1月27日日曜日
茶道具と歴史上の人物の書簡に触れる〜時代の美第3部桃山・江戸編
昨年、リニューアルオープンした五島美術館。その再開を記念したシリーズ展、時代の美 第3部 桃山・江戸編を見た。
展示内容は、絵画、墨跡、茶道具などが中心だった。
俵屋宗達が下絵を描き、本阿弥光悦が筆を振るった、鹿下絵和歌巻断簡、新古今和歌集と和歌朗詠集の色紙帖。
絵が中心でもなく、和歌あるいは書が中心でもない。そうした個々の要素が一つの作品となった時、例えようもない美しい世界が出現する。
烏丸光広筆の小倉山荘色紙和歌帖。和泉式部など三十六歌仙の和歌を、一人一枚づつの色紙に描いたもの。その和歌や作者に応じて、書の様式を変えて描いている。
江戸幕府の御用絵師となり、その後の狩野派の繁栄を気づいた狩野探幽。その探幽が東海道の道中で描いたスケッチ帖。簡素ながら、探幽の絵心がうかがえる。
織田信長、豊臣秀頼、石田三成、という歴史上の、それぞれ因縁のある人物の書簡。芸術的な価値はあまりないのだろうが、それらの書簡を目の前にすると、歴史の授業で学んだこと、映画やテレビドラマなどで見たエピソードなど、様々なものが、心の中に思い浮かんでくる。
また、代表的な茶の名人、千利休、古田織部、小堀遠州の書簡も展示されていた。
利休の書は、あまり字を崩さず、実直な性格が伺える。織部の書簡は、漢字が多いせいもあるが、横の動きが多い。遠州は書の名人としても知られるが、手紙ということもあり、シンプルながら、華麗な筆さばきが伺える。
賀茂真淵直筆の、延喜式の注釈書。実に丹念に、今日の普通の人でも十分に読める楷書体で、細かい字で書かれている。
この展覧会のハイライトは、五島美術館が誇る、茶道具の名品の数々。オリジナルをコピーした茶碗、水差しなどを、茶会で使用したことがあるが、そのオリジナルを目の前にすると、不思議な感覚を覚える。
中でも、破袋という銘のついた、古伊賀水指は、強い印象を残した。大振りの水指で、歪な形で、ところどころ、表面がひび割れしている。文字通り、破れた袋のように見える。
古田織部が、”今後、このような水指は生み出されないだろう”と絶賛したという。
五島美術館の特別展は、次回は中国・朝鮮編。日本編は今回で最後。
3回の展覧会を通じて、この国を支配してきた人々が、どのようなものを尊び、美しい物と考えてきたのか、それを概観することができた。
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