美術・芸術関連の展覧会に行った時の感想をアップします。もし興味があったら、ご覧ください。My comments to the art exhibitions in Japan.
2013年1月25日金曜日
アーティスト・ファイル2013を見る
新国立美術館で開催された、アーティスト・ファイル2013、を見た。
最初のスペースにあったのが、韓国生まれのヂョン・ヨンドゥの作品。子供が自由な発想で描いた作品をもとに、撮影された写真作品が、数点と、老人の語る昔話を映像化した作品が展示されていた。
子供と老人という対照的な年代の発想をベースに、それを具体的な作品に作り上げる、という手法が面白かった。
國安孝昌の作品は 、木片を積み上げた、大きな壁のようなもの。展示スペースを占領し、圧倒的な存在感でこちらに迫ってくる。部屋中に充満する、木の匂が、印象に残る。
中澤英明は、テンペラで描かれた子供の肖像を、数多く展示していた。
リアルに描かれた子供の絵が並んでいるが、時々、一つ目小僧、などのグロテスクな絵が飛び込んでくる。子供の顔も、よくよく見ると、かわいいというより、人を食ったような、不気味な顔に見えてくる。
子供=かわいい、という固定概念に、少しだけ楔を打ち込むような、微妙なバランス感覚がいい。
利部志穂は、ハリガネやアルミ編などの、何気ない素材を使って、展示スペースに、建築物のような不思議なオブジェクトを出現させた。
鑑賞者は、その間を抜けて進むのだが、その歩みを妨げるように、所々に、物が置かれている。
身の回りの物を、組み合わせることで、異化し、その存在を、特別な物にするという、古典的だが、普遍的な手法で、鑑賞者を、自分の世界に誘い込む。
インド生まれの女性のアーティスト、ナリニ・マラニ。部屋中に並べられたパネルに、人物、動物、ヒンドゥー教の神々などが、独特な表現で描かれている。中央の女性のへその緒は放射上に広がり、その先には胎児がぶら下がっている。
もう一つは、影絵のような手法を使って、壁に写された映像と、その影絵が重なる、という作品。インドらしい音楽が鳴り響く部屋の中で、これまで経験したことのないような、空間感覚を味わえる。
志賀理江子は、宮城県名取で暮らしながら撮影した写真を、木の枠に貼って、立て看板のようにして、部屋中に、まるで森のように並べた。
その写真の合間を縫うように進むのだが、あまりに部屋に詰め込みすぎているために、すべての写真を見ることは、ほぼできない。
それらの写真は、ただ壁に並べられるのでなく、立てかけて展示されることで、単なる写真ではなくなっていた。
イギリス生まれのダレン・アーモンドは、親類の死を悼むために、本人自身の映像と、本人が好きだった物や場所の映像を、同じ部屋の別々の場所に写していた。そんな追悼の仕方もあるのだなあ。
共通のテーマがある訳ではなく、国籍や、その表現方法も様々だが、この展覧会を見た人は、確実に、何かを見つけて会場を後にしたはずだ。
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