日本を代表するグラフィック・デザイナー、田中一行の没後10年の回顧展が、六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催された。
田中のポスター、デザインした書籍などが、親交のあった安藤忠雄の設計した美術館に展示されていた。
この美術館が、田中のこの回顧展のために建てられたかのように思われた。
1930年、奈良県に生まれた田中は、当時、完成で活躍していた芸術家で、具体を主宰していた吉原治良に憧れていた。
その吉原から、自分が作成したポスターに注目され、助手になるように声をかけられ、体が震えるほど興奮したということが、紹介されていた。
このエピソードを知り、田中のデザインの原点に、触れたような気がした。
かつて見た美術展のポスター、かつて読んだ本、自宅で使っている無印良品の品々、今でもよく買い物をする店の買い物袋・・・
そうした品々を、改まった展覧会で目にすることは、私にとって、実に奇妙な体験だった。
そして、私は気がついた。私は、紛れもなく、田中がデザインした世界の、住人だったということを。
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