2013年1月22日火曜日

帰ってきた東京ステーションギャラリー〜始発電車を待ちながら展


開館以来、個性的な展覧会を数多く開催してきた東京ステーションギャラリーは、東京駅の長い復元工事の影響で、長期にわたり休業していた。

このたび、その復元工事も終わり、この美術館も、リニューアルオープンした。

以前は、丸の内側の中央付近に入り口があったが、今度は、丸の内側の北口の改札口のすぐ近くに移動になった。

リニューアルオープンを記念した最初の展覧会は、始発電車を待ちながら、と題して、東京駅、あるいは鉄道をテーマに、9組の現代アートの作品が展示された。

秋山さやかは、自分が移動した場所を、色鮮やかな糸で、地図に刺繍した作品を展示していた。東京駅の周辺、東京から山形、など。

刺繍する糸は、その移動している場所で、拾ったり入手した物らしい。写真や、日記とは違った記録の仕方が、興味深い。

クワクボリョウタは、暗い部屋の中で、LED電気を搭載した電車の模型が、いろいろなオブジェの間を走り抜けていくという作品を展示。

暗い部屋の壁に、電車の光が、オブジェの影を映し出し、幻想的な風景を演出する。理屈なく、ただただ、単純に見て楽しめる。


廣瀬通孝の作品は、スイカなどのカードをデバイスにかざすと、カードの記録されている乗車記録を、地図上に上に、光の帯として再現する。

私も自分のをかざしてみたが、ほとんどは、毎日の通勤の記録なので、同じ所をいったりきたりで、全く面白みがない。

ヤマガミユキヒロの作品は、東京駅の構内などを写真に用に精密に描いた絵の上に、同じ場所を撮影した映像を重ねて写す、というもの。

下地になっている絵画と、その上に写される映像の重なり具合が、見る物に不思議な感覚を与える。


東京駅が新しく生まれ変わったことで、多くの人が東京駅構内を訪れている。美術に興味のない人も、何となく入ってみようと思ったのだろう。失礼ながら、会場には、普段はあまり現代アートを鑑賞しないのではないか、と思われる人々が溢れ、不思議そうに作品を眺めていた。

リニューアル記念ということで、有名な作家や、古典的な作品を並べるのではなく、上に紹介したような、一般的には無名の、現代アーティストに作品を依頼した、ということが、この美術館のコンセプトを表しているようで、実に頼もしかった。

今後も、個性的な展覧会を企画することを、強く望みたい。

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