2012年10月6日土曜日

近江地方の宗教世界に遊ぶ〜近江路の神と仏・名宝展


三井美術館で開催された、琵琶湖をめぐる 近江路の神と仏 名宝展、を見た。

近江といえば、天智天皇の近江京、額田王の”あかねさす・・・”の歌の舞台になった蒲生野など、古くから、様々な分野で、この国の歴史に、足跡を残している。

会場には、近江地方のお寺などから、奈良時代から、室町時代にかけての仏像、仏画、仏具など、普段はあまり目にする機会のない品々が、一同に展示され、近江地方の宗教世界が、そこに再現されているような、不思議な雰囲気につつまれていた。

大津市、葛川明王院の千手観音立像。十二世紀の平安時代の作品。沢山ある手の一つ一つが、小さな仏像、剣、仏具、縄など、いろいろな品を持っている。造形の細かさに眼を引かれる。

快慶作、大津市、石山寺の大日如来像。同じ十二世紀だが、こちらは鎌倉時代。快慶がまだ無名な頃の作品。それまで展示されていた平安時代までの仏像と、鎌倉時代の仏像とは、明らかにその表情が変わる。

それまでは、仏達は、遠い世界の存在として表現されていたが、鎌倉時代の仏像になると、まるで、仏が目の前に現れたかのような、リアルさを持って表現されている。仏も、一人の人間として、その個性が、いかんなく表現されている。その表情から、この仏の性格も読み取れそうだ。

大津市、聖衆来迎寺の観経変相図。十四世紀の南北朝時代の作品。浄土三部経のうちの『観無量寿経』に描かれた浄土の世界を、絵画で再現した内容。阿弥陀三尊を中心に、豪華な宮殿が描かれ、その中に、それこそ無数の仏が描かれている。

時代の変わり目の変換期に、人々は、お経を聞き、念仏を唱え、こうした浄土の絵を見て、やがて自分もそこを訪れたいという強い思いを抱いたのだろう。

そうした近江地方の仏像や仏画を見ているうちに、またいつか、近江を訪れたい気持ちになった。

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