美術・芸術関連の展覧会に行った時の感想をアップします。もし興味があったら、ご覧ください。My comments to the art exhibitions in Japan.
2012年5月12日土曜日
再会した二つの光琳の燕子花〜KORIN展から
根津美術館で開催された『特別展 KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館蔵「八つ橋図」』。
尾形光琳のデザイナーとしてのセンスが最も発揮された作品ともいえる、根津美術館蔵「燕子花図」とメトロポリタン美術館蔵「八つ橋図」が、根津美術館で再会した。
昨年、開催される予定だったが、震災の影響で今年で延期された。天皇陛下も訪れたという展示会。やはり、平日にも関わらず、多くの人が訪れていた。
会場の真ん中に、二つの大作が並べられていた。「燕子花図」の方は、文字通り、燕子花しか描かれていない。しかし、金箔の余白と、連なって咲き誇っている燕子花のバランスが絶妙だ。
一方の「八つ橋図」には、燕子花の間を縫うように、三河の有名な名所であった八つ橋が描かれている。燕子花が、ある程度リアルに描かれているのに比べ、橋の方はシンプルに描かれている。また、橋の上は、濡れていることを表現するためか、ぼかしの技法が使われている。
近寄ったり、遠くから全体を見たり、いろいろな楽しみ方ができる。
この二つの絵は、『伊勢物語』の第九段「東下り」の中の、三河国の八つ橋のほとりで、在原業平が、かきつばた、という言葉を使って、”からころもきつつなれにしつましあれば はるばるきぬるたびをしぞおもう”という和歌を詠む、というエピソードに基づいている。
光琳は、おそらく、いずれの絵においても、この絵を見る人が、この和歌を思い出すように演出したかったのだろう。
特に、「八つ橋図」の方は、描かれている燕子花が、大きく3つのグループに分かれていること。橋が、7つしかし描かれていないことなどから、そうしたことが窺える。
他にも、何点か、尾形光琳の作品が展示されていた。「白楽天図屏風」は、その独特の波の表現と、波に揺れる船を大胆に斜めに描いた点が、特に印象に強く残った。
光琳から、およそ100年後に活躍した酒井抱一の「青楓朱楓図屏風」。一対の屏風絵の中に、春の青々とした楓と、秋の真っ赤に紅葉した楓が、繊細な筆使いで描かれていた。
光琳の世界にどっぷりつかれた、そんな展覧会だった。
根津美術館のホームページ
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