再び、千葉市美術館の『曾我蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち』展を訪れた。ほとんどの展示作品が、期間中盤で展示替えになったためだ。
後半の方が、有名な作品が多いせいだろうか、以前より、多くの人が訪れていた。
期間の後半の目玉は、「群仙図屏風」。縦1.8メートル、横3.8メートルの大作。蕭白の絵画は、墨で書かれたモノクロの作品が多いが、これは、赤、青、黄といった原色のカラーが使われ、蕭白の中でも異彩を放っている。
蕭白35才の時に描かれ、蕭白の代表作とされる。よく見ると、人物や背景の表現が、他の作品と共通する部分が多い。その意味では、蕭白の画法が集約された作品ということができる。
まるで正気を失い、別な世界を漂っているような目をしている仙人。美しいのだが、情愛がまったくかんじられない女性。竜とそれが巻き起こす竜巻などなど。まさに、蕭白ワールドだ。
「鳥獣人物図押絵貼屏風」。水墨の筆で、文字を書いたように見える太い線を、人物や馬などの輪郭線に、実に上手く使っている。抽象絵画のようにも見える。
「楼閣山水図(月夜山水図)屏風」。六曲一双の金色の背景の屏風に、雪舟の影響が明らかな山水図が展開されている。そこには、奇妙な仙人も、狂女も、渦巻きも登場しない。ただただ、自然の中に、豆粒のような人間がいるだけだ。これもまた、蕭白の一面ではある。
長沢蘆雪は、私の好きな画家だ。「花鳥蟲獣図鑑」。この絵は、別な画家との共作だが、芦雪はこの絵の中に、子犬を描いている。私は、この絵に描かれている子犬ほど愛くるしい子犬の絵を、他に知らない。
それにしても、前期と後期を通じて、60点ほどの蕭白の作品を見たことになる。しばらくは、その世界から、逃れたくても、逃れられそうもない。
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