日本民藝館で開催された、日本の漆−南部・秀衡・浄法寺を中心に、という展覧会を見た。
日本民藝館の漆の工芸品のコレクションの中から、いわゆる南部漆を中心にし、その他の各地の漆の工芸品が展示された。
南部の漆椀は、秀衡椀、浄法寺椀などの種類があると言われる。秀衡とは、平安時代末期に奥州で勢力を誇った奥州藤原氏の3代目の当主。源義経を保護したことでも知られる。
実際には、そうした漆椀は、藤原秀衡とは直接の関係はないようだが、その名前が南部を代表する工芸品に名前を残しているという事実に、南部の人々が、藤原秀衡をどのようにみていたかがわかり、興味深い。
黒字の椀に、赤い漆でいろいろな絵柄が描かれている。鶴や松などの絵柄が目に付く。その形は、他の地方ではあまり見かけないもので、この地方の独自性が、よく表れている。
また、漆を使った蒔絵や、卵の殻を貼付けたもの、漆を革の上に塗った工芸品も展示されていて、漆が多くの工芸品に使われていることがよくわかる。
沖縄の漆椀は、真っ赤一色。しかし、その鮮やかな色合いは、強烈な印象を心に刻む。
南部の漆椀は、交易を通じて、アイヌの人々の間でも使われた。アイヌの人々は、そうした品々を、大切に使い、多くが今日まで伝えられた。動物や植物の文様が彫られた神具が展示されていた。
漆の木は、日本をはじめ、中国、韓国、東南アジアに生息している。中国や、タイ、ベトナムなどの漆の工芸品が展示されていた。いずれもやや小振りだが、東アジアや東南アジアの文化の共通性が感じられる。
漆の多様な用途、そしてその国際性も感じられ、漆の世界を満喫できた。
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