2013年2月14日木曜日

日本画の極地がそこに〜画の東西展(大倉集古館)


ホテルオークラにある、大倉集古館で、自らのコレクションを中心とし、江戸と京都を代表する日本画を紹介する、画の東西、という展覧会が開催された。

入口を入ると、いきなり、竹内栖鳳の蹴合が、来場者を迎える。2匹の闘鶏が、文字通り蹴り合おうとしている、その直前の瞬間を捉えた作品。

その2匹の間にある、緊張感を見事に表現したその作品は、静のイメージの強い日本画とは違った、もう一つの凄みを感じさせる。

そこに描かれている闘鶏が、まるで、偉大な勇者のように感じられる。動物を描いて、そこに、崇高さまで感じさせる、竹内栖鳳。さすがだ。

1階は、東西のうちの、東の画家の作品が並んでいるが、そのちょうど反対側には、横山大観の瀟湘八景の中から、3つの作品が並んでいた。

色鮮やかな闘鶏から一変。墨の濃淡だけで描かれた、大観独得の世界。

全体は、ぼかして描いて、しかし、細かい筆で、小さく家々や人物を描く。その絵を見る者は、まずは遠くからじっくりと眺め、次に、近づいて、その家々や人々を眺める。

特に、瀟湘夜雨という一枚。ぼかしの技法で、湖沿いの風景の湿気や霞まで捉えている。日本画の一つの極地が、そこにはある。

まだ2点の作品しか見ていないが、すでに、お腹いっぱいだ。

2階に上がると、今度は西の絵画。まずは、素朴な大津絵が来場者を迎える。子供が描いたような、その素朴な絵の数々に、思わず顔と心が緩む。

伊藤若冲の珍しい絵巻物、乗興船が展示されていた。夜の琵琶湖沿いの風景画。空を真黒に描き、湖水の風景を、薄い黒で描く。その発想の匠さに、思わず唸ってしまう。

そのほかにも、東からは、呉春、川合玉堂、西からは、英一蝶、円山応挙、狩野探幽らの作品を味わえる。

出店数は、わずか30点ほどだが、日本画とは何か、その1つの答えを与えてくれる、心に強い印象を刻む展覧会だった。

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