2012年12月8日土曜日

実朝のイメージ〜鎌倉文学館特別展源実朝


鎌倉文学館を初めて訪れた。由比ケ浜に望む山裾に、きれいな洋館が建っている。それが、鎌倉文学館だ。


鎌倉文学館では、生誕820年を記念して源実朝の特別展が開催されていた。鎌倉は、多くの作家が暮らしていることで知られるが、源実朝は、そうした鎌倉文士の元祖と位置付けてられていた。

といっても、源実朝本人、というよりは、詩人、俳人、作家、文学者などが、どのように実朝を見ているかを紹介する、といった趣旨の内容だった。


正岡子規、斎藤茂吉、小林秀雄、小林秀雄、太宰治、吉本隆明、そして柳美里などなど。

それぞれの実朝に対する見方は、確かに興味深いが、どれも、本当の実朝とは違うような気がした。

そもそも、自分で自分のことをわかっている人などいない。どうして、およそ800年も前の人物について、現代の人間がわかったりできるのだろうか?

誰もが、実朝を語るというよりは、自分の中にある、実朝的なもの、を探しているように思えた。


鎌倉文学館を後にして、近くの由比ケ浜に足を伸ばした。

実朝は、宋に行くことを夢見ていたという。謎の中国人にこの由比ケ浜で船を造らせ、渡航としようとしたが、船はついに海に浮かぶことはなかった。


(実朝)大海の磯もとどろに寄する波 われて砕けて裂けて散るかも


鶴岡八幡宮の中で見つけた、実朝を記念する植樹。実朝桜。

鎌倉幕府の第3代将軍。22才にして『金槐和歌集』を世に送り出した歌人。

実朝は、あまりにも、彼について語りたくなるものを秘めている。これからも、いろいろな人物が、この遥か昔の人物を思い、自分の中に、彼の虚像を作り上げていくのだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿