2012年11月3日土曜日

夏・殷王朝から宋の時代までの中国王朝の至宝


今年の始めに行われた、故宮博物院展に続いて、日中国交正常化40周年を記念して、『中国王朝の至宝』展が行われた。

古代の夏・殷王朝から、宋の時代までの歴代の王朝の至宝、およそ170点を展示する、大規模なものだった。今回は、地方の博物館の収蔵作品で構成されていた。

これまで、中国といえば、故宮博物院の作品が来日する機会が多かったが、あまり目にする機会のない、地方の博物館の収蔵品には、新鮮な印象を受けた。

三国志で有名な蜀の国。そこには、中原で夏・殷王朝が栄えていた同じ時代に、全く別の文化を持った文明があった。

眼が極端に飛び出た、一度目にしたら、眼に焼き付いてしまう、インパクトの強い仮面。また、目尻の尖った金のマスク。

これまでの、中国の古代=夏・殷王朝の青銅器というイメージを覆す、印象に深い展示品だった。

そして、楚の時代からは、鹿の角を使った、墓を守るために設置されたという、不思議な動物の彫刻。

鹿の角には、特別な力が宿っていると考えられていたという。鹿の角は、再び、生えてくることから、再生という意味もあったのかもしれない。古代の日本でも、鹿は神の使いでもある、特別な動物だった。

秦の時代からは、始皇帝陵の兵馬俑の一体が展示されていた。大きさはほぼ等身大。膝をついて、顔を真っすぐ正面に向けている。その表情が、実に凛々しい。わずか一体ながら、その存在感は、周囲の出品物を圧倒していた。

唐の時代からは、陶器の女性俑。ふくよかな顔、丸みを帯びた体が、ユーモラスに表現されている。繁栄を極めた唐の時代を象徴するような、作品。

北朝の契丹族の遼からは、金や銀をふんだんに使った工芸品の数々。その中には、仏教に関するものも多い。この時代からは、明らかに仏教関係の展示品が多くなった。

折しも、尖閣諸島の問題で、日中関係が微妙な時期ということもあり、休日でありながら、それほど混雑がなかった。個人的には、ゆっくりと作品を味わうことが出来てよかったが、少々複雑な気持ちになった。

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