府中市美術館で開催された、『三都画家くらべ』を見た。この日、美術館のある府中の森公園は、桜が満開。多くの花見客が、休日をのんびりと過ごしていた。
現代であれば、新幹線で2時間半、飛行機で1時間の東京と大阪だが、江戸時代は、徒歩で行くと、なんと1ヶ月と言う長い期間を費やさなければならなかったという。
江戸時代の人が感じていた、江戸と京や大阪との距離感は、現代人が感じる、東京と京都・大阪との距離感とは、全く違っていたに違いない。
京都からは、円山応挙、池大雅、尾形乾山、長山芦雪、呉春、与謝蕪村、曾我蕭白、伊藤若冲などの作品が。江戸からは、狩野探幽、司馬江漢、宋紫石、葛飾北斎、谷文晁、英一蝶、歌川国芳などの作品が紹介されていた。
この展覧会の特徴は、これまであまり紹介されることがあまりなかった、林閬苑、森狙仙、上田公長、佚山などの大阪の絵師の作品にスポットを当てていること。
大阪は、港町ということもあってか、長崎経由でもたらされた中国の絵画技法の影響を受けた作品が多いようだ。
歌川広重の武蔵多満川図。浮世絵のイメージとは異なる、伝統的な手法で描かれた水墨画。今の調布付近の多摩川の湖畔を描いているが、現在の風景からは全く想像もできない風景がそこにある。
長沢蘆雪のなめくじ図。ナメクジが歩いた後が、一筆書きで描かれている。はたして、本当の意味で、この図を描いたのは、芦雪なのかナメクジなのか?
江戸時代を代表する、蒼々たる絵師の作品を満喫し、桜の花が舞い散る中を、満足感一杯で帰途についた。
府中美術館の『三都画家くらべ』展のホームページ
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