美術・芸術関連の展覧会に行った時の感想をアップします。もし興味があったら、ご覧ください。My comments to the art exhibitions in Japan.
2012年3月4日日曜日
ジャクソン・ポロックのリズムに乗って Taking on the rhythm by Jackson Pollock
東京国立近代美術館で開催されていた、生誕100年ージャクソン・ポロック展を見た。
ポロックの初期の作品から、最晩年にいたる作品まで、ポロックの生涯にわたる作品を鑑賞できる貴重な体験だった。
現在は、イランのテヘラン現代美術館が保有している『インディアンレッドの地の壁画』は、縦1.8メートル、横2.5メートルの大作。大きな部屋に、その作品だけが置かれていた。そうした展示場の演出の効果もあったが、とにかく、部屋に入ったときから、その絵に引き込まれた。
俗にアクション・ペインティング、ポラック自身はポーリングと呼んでいた、そのあまりに有名な手法。床にカンバスを置き、絵の具をカンバスにたらし込んで(ポーリングして)いく。
ポロック自身は、ポーリングによって描かれる線は、決して偶然ではなく、作者による意図があると言っている。しかし、その一方で、作成している時、自分は何も考えていない、とも言っている。
ポーリングされていく絵の具を制御できるのは、作者ではなく重力だけだろう。それが絵画に独特のエネルギーを与える。それは、紛れもなくポロックの作品だが、人間の意図を離れた偶然性を多分に含んでいる。
そのポーリングの線が複雑に絡み合っている。いくら見つめていても、その度に新たな線を発見できる。その絵画の複雑性が、絵画に独特のリズムを与えている。絵画が、まるで自然の音楽の楽譜のように見えてくる。それが、ポロックのリズムだ。
ポロックは、生涯にわたってピカソをひとつの目標にしていた。また、インディアンの芸術や、メキシコのオロスコの作品にも影響を受けていた。そうした影響が、彼の絵画に、野性を感じることの原因かもしれない。
会場には、ポロックのアトリエを再現したコーナーがあった。
展示されていた絵の具やペンは、ポロック自身が実際に使っていたものということだった。
東京国立近代美術館の展覧会の特設ページ
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