2012年6月17日日曜日

私がエルンストを好きな理由〜『マックス・エルンスト フィギュア×スケープ』展


マックス・エルンストは、私が最も好きなアーティストの一人だ。しかし、私には、その理由を、これまでは、上手く説明できなかった。

この、横浜美術館で開催された、『マックス・エルンスト フィギュア×スケープ』展を見たら、その答えが見つかるかもしれない。そんな期待を持って、横浜を訪れた。

フィギュア×スケープとは、エルンストの作品のモチーフの中でよく使われるのが、フィギュアと森などの風景である、ということからきているらしい。

フロッタージュという技法で作成された版画集、『博物誌』。どこかで見たようで、また見たことがないような、不思議なオブジェクトが並ぶ。エルンストは、聖書の天地創造をイメージして、この版画集をまとめたという。

そこに描かれているもの、そして、それを描く技法。そのいずれもが、紛れもなくエルンストだけのもの。これは、まさしく、エルンストの世界の『博物誌』だ。

コラージュ・ロマンという、大衆向けの雑誌のイラストをコラージュして、物語を構成した作品。『百頭女』、『カルメル会に入ろうとした少女の夢』などそれらの作品を、私たちは、今日、文庫本で安価に購入することができる。

先の『博物誌』とは全く異なるアプローチで、エルンストは、それとは全く違った世界を作り上げてしまう。

森を描いた様々な油彩画。エルンストは、幼い頃に森を始めて訪れた時に感じた、恐怖と不思議な魅力について、写実とも抽象ともつかない方法で、森という対象を描いてる。

普通、私たちは、ある絵を見ると、これは、ゴッホだ、ピカソだ、ダ・ヴィンチだと、有名な画家であれば、その作者を言い当てることができる。

しかし、エルンストの作品を、彼の作品と言い当てることは、その作品を知らない限り、難しい。エルンストの作品には、実に個性的である一方で、そうした、無所属性がある。

この日、横浜は開講記念日で、横浜美術館は、入場が無料だった。ラッキー!実は、こんなところが、私がこのアーティストを、好む理由なのかもしれない。

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