そごう美術館で開催された、”京都 細身美術館 PartII 琳派・若冲と雅の世界”展を見た。
大阪の実業家、細見家が3代にわたって収集した美術品を収蔵する細見美術館の収蔵品を展示する展覧会の第2部。今回は、琳派、とくに伊藤若冲にフォーカスした展示内容だった。
伊藤若冲の『鶏図押絵貼屏風』。鶏が好きで、庭に何匹か飼い、いつもその動きに見入っていたという若冲。墨の濃淡を上手く使い、12匹の鶏の姿を、見事に描き分けている。
同じく若冲の『仔犬に箒図』。箒の穂先に、仔犬がじゃれついている。仔犬の表情が、とてもいい。その本人はいたって真剣な表情が、仔犬の愛らしさを、よく表している。
琳派では、鈴木其一の作品が充実していた。『藤花図』は、藤の花の房が、2本、長い画面の下まで垂れ下がっている。丹念に、花びらの一つ一つまで描いている。美しい。
土佐光吉の『源氏物語図色紙 初音』。江戸初期の作品。土佐派は、江戸時代に源氏物語もので定評のあった土佐派の、その位置つけを決定付けた光吉の作品。場面は、光源氏が、明石の上を訪ねるシーン。明石の上は、我が子が光源氏の正妻、紫の上のもとで暮らしているため、寂しい日々を送っていた。
とにかく筆使いが細かい。それこそ、クモの糸のような細い線で、琴の糸や、着物の細かい柄が描かれている。まさに職人技。
住吉如慶の『きりぎりす絵巻』。きりぎりすなどの昆虫たちが、着物を来て、平安貴族さながらな暮らしをしている。『鳥獣戯画』以来の、日本の伝統的な変わり者絵巻。今のアニメに通じるものを感じる。
そごう美術館は、ミュージアッムショップについて、内装を美しく改装して、ニューリアルオープンと銘打っていた。その一方で、美術館の展示スペースは、あまりメンテナンスしていないようで、全体的にくすんだ印象を受けた。
百貨店系の美術館として、その存在自体が、厳しい状況にあるのかもしれないが、少し、寂しい気がした。
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